ジェニファー・フォックスは
環境問題を訴える研究者
ネタバレしています
Trareteによる写真
同僚のチャールズ・イースターマン殺害容疑で
裁判にかけられている
フォックス裁判の法務総裁 ジェフリー・ヘイヴァシャムは
弟で首相のエドワードに任命された
ジェフリーが"清掃人"を名のる
ペイヴェル・ボニアックらに誘拐された
エドワードに向け
ジェニファーを無罪にし
イースターマン殺害の真犯人を挙げろという要求
ここに陪審員12人が絡み
イースターマン殺害の真相に迫る
エドワード側の真相追及の進みと
陪審員たちの議論、攻防、それぞれの秘密の内容、
そして
ジェフリーとペイヴェルの誘拐ストーリーが
章ごとにアナログ時計のイラストとともに動いていく
エドワードが
首相としていろいろな人たちを動かしていく面白さ
陪審員たちには
一人ずつ感情移入してしまった
人情という意味では
まず
テロリストのサージ・ヴァイダリーが殺され、
悲しみのペイヴェルと仲間のリディアが乗り越える様、
リディアも逮捕されたとき
恐らく自死したとペイヴェルが語る下り、
そしてラスト
無罪評決に至った陪審員に驚くペイヴェルが
ジェフリーを開放する際
ジェフリーもペイヴェルの身を案じるなど
誘拐側の話も
胸に刺さった
何より
"清掃人"とは
ソ連のチェルノヴイリ
※現ウクライナのチョルノービリ
での原発事故後
現地でボランティアとして送り込まれた人々を指していた
ペイヴェルの両親は医師で
清掃人として死んだ
ペイヴェルも自分の余命を知っていて
フォックスが
子どもたちが白血病になる環境に置かれていることを
当該企業を告発するという関係性から
今回の誘拐を計画した
エピローグでは
フォックスがペイヴェルの遺灰を大木の根元に埋め
ジェフリーがそれを見守った
陪審員の一人アンクル・ボブは
企業側からフォックスを陥れるために送り込まれていたが
それが討議中にばれかけて追いつめられ、
他の陪審員の秘密を討議中に暴露し
そのため心臓の薬を取り上げられて救急搬送されたが
病院で死んだ
それぞれの陪審員たちは
その悪事とも言える秘密を正した
結局、陪審員たちはボブを殺したことになったんだと
胸が痛んだ
そしてエドワードとジェフリーは
当該企業の撲滅を進めた
企業の悪だくみを知っていて承認していたことを
エドワードは潔く謝罪し
国民に受け入れられた
本書は
60万人のボランティア"清掃人"に
捧げられている
読了:令和7年1月9日
文藝春秋BOOKS …X
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