イギリス作家のアンソロジー
ネタバレしています
〇 時間の縫い目
ジョン・ウィンダム …ウィキペディア
現れなかった昔の恋人は
時間のはざまに陥って
現在の自分の所に来ていた
恋人が現在こうなった
…というオチが
はたして要ったのかどうか
〇 水よりも濃し
ジェラルド・カーシュ …ウィキペディア
牡蠣が大好きなガミガミ伯父さん
牡蠣で体調崩す甥の一人称
甥が伯父さんに輸血した
終始、ユーモア漂う筆致と
伯父はただガミガミ言うだけで
良くしてくれた人だという思いの揺れ動きもおもしろい
甥は赤毛で
妻に輸血した女が赤毛にアレルギー反応を示すことから
妻が気分が悪くなってしまう絶望的なオチも
ユーモラス
本アンソロジーでも好きな作品
〇 煙をあげる脚
ジョン・メトカーフ …ウィキペディア
その名の通り
そんな脚を持つ人の話
最後に消えてなくなったのは
この人じゃないってこと?
ラストが分かりにくい
〇 ペトロネラ・パン--幻想物語
ジョン・キア・クロス …ウィキデータ(英語)
かわいい赤ちゃんのコンクール
凄くかわいい赤ちゃんが優勝
その後も同じ赤ちゃんが優勝
毎回この赤ちゃんが優勝
何十年も
なかなか面白いテーマだった
〇 白猫
ヒュー・ウォルポール …ウィキペディア
猫は不思議な話に用いられやすいな
飼い主に近づく者を
殺していくニャンコ
〇 顔
L・P・ハートリー …ウィキペディア(英語)
友人がいつも描く
同じ女
この顔の女が実在すると分かり
見に行くが
女には双子がいた
こうなってくると
双子のどっちがナンなのか
どうでもよくなってくるな
ちょっとした不運で
不幸になった方の女の話
〇 何と冷たい小さな君の手よ
ロバート・エイクマン …ウィキペディア
知人宅に架電したら
知らない女が出て
その女が電話をかけてきたり
こちらからかけたり
女の電話を取るために
何もできなくなる男の狂気と
この女の末路
この作品もアンソロジー内で好き
解説にもあるが
タイトルは「ラ・ボエーム」の中の楽曲
なんでこのタイトルにしたのか
このオペラを知らないからピンとこないけど…
〇 虎
A・E・コッパード …ウィキペディア
サーカス団にやってきた
不気味な虎の話
なんか、
どこにでも
オチを着けられる話だったな
〇 壁
ウィリアム・サンソム …ウィキペディア
壁に空いた穴のおかげで
崩れたときに
助かった人とダメだった人と
という話かな
シンプルすぎて
この解釈でイイかどうか自信ない
〇 棄ててきた女
ミュリエル・スパーク …ウィキペディア
"私"が何を職場に忘れてきたのか
いやいや、あなたの死体でしょう?
オチが読めてしまって残念
〇 テーブル
ウィリアム・トレヴァー …ウィキペディア
売りに出されたテーブル
売りに出した夫婦と
最初に買いに来た女、
買った男
これだけで
こういう話が展開するとはおもしろい
コレも好きな作品
〇 詩神
アントニイ・バージェス …ウィキペディア
タイムマシンもの
シェイクスピアに会いに
過去に行った男が持参した原稿を
シェイクスピアが清書して出版する
不条理もの
これもオチが読めたなあ
〇 パラダイス・ビーチ
リチャード・カウパー …ウィキペディア(英語)
ブラッドベリの「壁の中のアフリカ」を思い出す
あれよりは
装置の原理というか
説明がなされている感じ
読了:令和5年5月8日