2022年11月13日

そして誰もいなくなった アガサ・クリスティー:著

知ってる筈の人物から
よく分からないながらも招待を受け
島に集まった8人の客と
住込みの使用人夫婦
計10人が
島にちなんだ童謡と同じ手口で
次々に死んでいく


※真相についてネタバレしています
そして誰もいなくなった.jpg




あまりにも有名なこの作品、
初めて読んだ

それぞれの個性を物語る描写は
クリスティーではおなじみだが
この人たちが
こういうシチュエーションなら
疑いなく来島するとよく知った手口で
真犯人が誰か分からない冒頭部分でも
うならされた

誰が真犯人でもおかしくない展開だが
やはり
殺された人物は犯人ではない
…という先入観がずっとあって
クリスティーにしてやられた

正義感の強さから
元判事ならやりかねないことは
予想がつきそうなものだったのに
普通に
殺された1人だと思ってしまった

罪の重い人ほど
殺害の順番を後ろにもっていって
罪の軽い人に恐怖と苦しみを長引かせない配慮にも
感心した


殺害された順番

1.アンソニー(トニー)・マーストン
  危険運転で子供2人を轢殺
   1人が喉を詰まらせて
   食事に出かけた子は9人になった

2.エセル・ロジャース
  夫と共に勤務していた雇用主女性の心臓発作を助けず死なせた
   1人が寝過ごして
   遅くまで起きていた子は8人になった

3.マカーサー
  妻の不倫相手の部下を意図的に死地に追いやって死なせた
   1人が旅先に残って
   旅に出た子は7人になった

4.トマス・ロジャース
  妻を巻き込んで雇用主女性を死なせた
   1人が自分を真っ二つに割って
   薪を割っていた子は6人になった

5.エミリー・ブレント
  妊娠した使用人少女を叱責して自殺に追い込んだ
   蜂が1人を刺して
   蜂の巣をイタズラした子は5人になった

6.ローレンス・ウォーグレイヴ 真犯人!
  陪審員を誘導して被告を死刑にした
    …が、この被告は死刑が妥当でこれはフェイク
   1人が大法院に入って
   法律に夢中になった子は4人になった
    …なってない、ウォーグレイヴはこの時死んでない

7.アームストロング
  酔って手術をして患者を死なせた
   1人が燻製のニシンに飲まれて
   海に出かけた子は3人になった
    …実はまだ4人

8.ブロア
  賄賂を貰って偽証して無実の被告を獄中死させた
   大熊が1人を抱きしめ
   動物園を歩いていた子は2人になった
    …実は3人

9.フィリップ・ロンバード
  村落の住民たちを見捨てて死なせた
   1人が陽に焼かれて
   日向に座った子は1人になった
    …実はもう1人いる

10.ヴェラ・クレイソーン
  無理な遠泳を許可して溺死させた
   残った子が首をくくり
   後には誰もいなくなった
    …最後の1人はまだいる

エピローグ章で警察が介入しても
真相が分からず
何が起こったのかもわからなかった

最後に漁船が拾って
警察に届けた
ボトルメールならぬ
ボトル告白書で
全ての謎が解けた

ローレンス・ウォーグレイヴが
不治の病になったと思い
強い正義感と
それから
やってみたかった殺人を
死ぬ前にやろうと計画したというのが
動機としてはどうかなとは思った



読了:令和4年6月11日


そして誰もいなくなった
posted by 紫 at 05:36| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 翻訳推理小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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