WOWOW
連続ドラマW
令和4(2022)年1月9日~2月6日
毎週 日曜 22時
原作は
一本木透の小説
ネタバレしています
Photo by Thirdman
吉村隆一】
太陽新聞社の取締役
記者上がりで
群馬で前橋支局長をしていたときに
一本木透(玉木宏)と一緒でした
妻および生まれたばかりの息子を捨てたのは
記者の宿命だったと
自分の過去を振り返ることもあります
20年前の一本木は
保育士の白石琴美(松本若菜)と同棲していました
一本木は
琴美の父で県庁の出納長(春園幸宏)の事件を記事にし、
琴美の父は自死、
琴美は家を出ていき
1年後に病死
一本木はこのことを
ずっと抱えて生きてきました
そんな一本木を
いまも心配する吉村は
新聞売り上げの回復も狙い、
犯罪被害者の家族を装った手紙を新聞社に送りつけ
一本木にこのときの記事を書かせます
一本木の記事「記者の慟哭」は反響を呼び、
それを読んだとする
連続殺人の真犯人からも
紙面での対決を申し出られる騒動が巻き起こります
その人物は
人間をウイルスと呼び、
新聞社に送った手紙の署名を"Vaccine(ワクチン)"と記していました
この連続殺人、
20年前の事件が関与しているのではと考えた吉村は
群馬で独自に調べました
一本木と知り合った学部生の江原陽一郎(松田元太)は
赤ちゃんのとき
群馬の石橋産婦人科に置き去りにされました
石橋医師(古田新太)が
不妊でだと思いますが通院していた江原夫妻に連絡し、
陽一郎はそのまま引き取られました
事実を知らない陽一郎は
江原夫妻を実の両親と思って成長しました
陽一郎は母 むつみ(安藤裕子)が亡くなったとき
母の部屋に入り
日記を見て事実を知り
父 茂(萩原聖人)にも確認をする大いなるストーリーが展開しますが
吉村は一家に直接の関りは持ちません
吉村は
石橋医師に話を聞きに行き、
琴美が亡くなる前に産み落とした子が陽一郎だと知ります
吉村が石橋医師に会いに行く前、
一本木は石橋医師に取材に行っています
陽一郎を置き去りにしたのはクラブ勤務の女性と
茂から聞かされていた一本木は
石橋医師に確認したのですが
石橋医師は突然、話を打ち切って
一本木を追い返してしまっていました
実の母親は
クラブ勤務なんかではないということか?
…と
視聴者はみんな思ったはず
ともかく
吉村は
一本木に
石橋医師にもういちど話を聞くよう勧めました
太陽新聞の面々は
事件とともに右往左往し、
吉村も同じように振り回されはしたものの
しっかり視線を固定して
事件をとらえようとする姿勢がありました
だから殺せなかった】
このタイトルは
真犯人だった茂が
陽一郎の実の父だった一本木を殺そうとして
陽一郎の顔が頭に浮かんで殺せなくなったところからきています
自分の思いだけで
陽一郎から実の父親を奪っていいのか
茂は
子供の頃、ずっと父親(田村泰二郎)から虐待され
その復讐で子供を虐待していた男たちを殺害、
最後の標的は一本木と決めたのに
でも
最も憎んだはずの一本木の中に
最も愛した陽一郎を見てしまった
だから殺せなかった
最後に真犯人が出てきて
この言葉を言うのだろうなと予想はしていましたが
こんな
一本木にまで絡んだ
辛い苦しい理由が隠されていたとは
思いもしませんでした
予想と言えば
ネットなどでは
陽一郎が拾われた群馬の病院が出てきたとき
その頃に
一本木が群馬にいたことを問題視している考察を
幾つも見ました
それらにつられて
別れたあと
琴美が出産して
捨てたのかなとかは思いました
でも、ことは
そんな単純なものではありませんでした
児童虐待や
血が繋がらなくても大事にする親といった
親子の愛の問題が根底に流れ続けていたのでした
1話・2話で
意味深な古ちん君が
3話でようやく何者か分かったというのも
面白い趣向でした
1つ疑問なのは
なぜ20年前の事件が関わっていると
吉村も警察も感づいたのか
ところで
宮本(白石隼也)巡査部長が
茂に手錠をかけようとするシーン
望月警部補(高橋努)は
陽一郎の前だったのでそれを止めます
一本木には感情をぶつけてきたりもする望月ですが
人情溢れる望月のこのシーンは
全編通しても超お気に入り
それと
Vaccine、つまり茂が
自筆で書きつけた文字が
とても子供っぽいのですが
萩原聖人くん自身が子供っぽさが残るので
文字も人柄も
かわいらしいなあと思いました
文字は萩原聖人くんが書いたものかどうかは不明
虐待を受けた子の
なれの果て
同じ境遇の幼馴染を愛して
結婚した
そして
1人になってしまった新生児の陽一郎を引き取って
全力で愛した
残忍な連続殺人を犯したのですから
極刑かなと思いますが
被害男性たちの妻子が
嘆願を願い出るような気がします
陽一郎は本当の父にも巡り合えましたが
ずっと
茂のことも思い続けるのでしょう
渡部篤郎】
最近の役は
組織のトップだったり
結婚する子のいる父親だったり
いわゆる老け役が多くなってきています
ですが、
今作の吉村は
年輪、年の功といった
いい意味での重ねられた要素は前面に出ましたが
若さも感じられる役でした
20年前は当然ですが
現在の吉村も、です
重鎮の役も
スマートにダンディにこなしてしまう人ですが
こういう役もたまに見せてほしいな
黛デスク役の長谷川朝晴くんとの絡みもそこそこあって
2人の腐れ縁が好きな者としては
それも楽しいドラマでした
渡部篤郎
だから殺せなかった
WOWOWオリジナルドラマ