2020年01月12日

老いたる詐欺師 ニコラス・サール:著

邦訳タイトルを「老いたる詐欺師」としているのは
ひっかけだな



ネタバレしています
老いたる詐欺師.jpg
Image by WikiImages from Pixabay




老いたる詐欺師とは
ロイのことだが、
原題はTHE GOOD LIAR、
これで
ネタばれになってしまうんだろう

ロイが
高齢女性のベティを騙して
資産を奪おうとしている物語だが
ベティが時々意味深な様子を見せ、
読者にはそれがなんとなく気になる仕掛け

現在の話に
ロイの過去のストーリーが挟まり、
最初は1973年、次が1957年、1946年と
どんどん遡っていく

そして遂に
1938年が挟まるのだが、
この章には
1946年にロイと関わった
通訳のハンスの14歳のストーリーで、
1938年の章を読み終わるときには
ロイにとって
この1938年も重要であることが
読者には分かってくる仕組み

さらに
1938年にハンスと関わる
当時10歳のリリ・シュレーダーの名前が
終盤に章のタイトルで登場し、
この章もロイに大きく関わって来る

そして
ラストはなんとも淋しく切ない

それにしても
欧州にとってナチスは
いつまでたっても
地獄のような悪夢として
人々の上にのしかかっているのだなと
実感させられる

読了:令和元年8月17日




posted by 紫 at 05:24| 大阪 ☀| Comment(0) | 翻訳サスペンス小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください
読書感想ランキング