原題はHURMFUL INTENT
直訳すると有害な意味
柔らかい棘
ペイン・カー(Baib Kerr):著
著者は、自身も医療過誤を専門とする弁護士
法廷物が好きなので読んでみました
原告の一人娘の年が、内の子と同年代なのと、乳癌に罹ってる事から、原告の彼女も私くらいの年かと思いました
ボルダーという実在しない都市で、ピーター・モス弁護士が原告の為に戦います
乳癌を放置された侭だったという事で、テリー・ウインターは、主治医のウォレス・ボンダランドを訴えます
ピーターはテリーの弁護を引き受けます
途中までは、テリーの頑固とも取れる程の、信念を曲げずの性格が災いして、ピーターは負け気味
テリーが12歳の娘エミーを連れて雲隠れしたりして、中盤までモス苦戦
エミーの主治医でもあったボンダランドについて、エミーが母テリーに何やら告白
テリーは急遽、終の棲家と秘かに思っていた雲隠れ先のメキシコからボルダーに戻り、裁判を闘う決意
判決の結果はどうなる[E:sign02]
エミーの告白とはどんな衝撃の事実だったのか[E:sign02]
テリーの裁判を引き受ける前に、ピーターは医療過誤でボンダラントと戦った事が有りました
原告はジェシー・フィッシャーの両親
ジェシーは当時 中学生で体操選手でした
肩を痛めてボンダラントに診て貰います
医療ミスにより副作用が出て、全身に湿疹が広がり、皮膚が剥がれ、免疫低下によって敗血症を伴うという、想像したくない状態で亡くなりました
ジェシーの事は物語の中で、何度もピーターが思い返すのです
ピーターは此の裁判、敗訴したんです
内にも中学生が居ます
ジェシーの亡くなる部分の描写は涙を誘いました
小説の合間に入る、ピーターのベトナム体験
特に印象に残るのは、村一つ壊滅させろと言われて、ピーターに命令が下った所からの下りです
無抵抗の非戦闘員である村民を殺す訳です
ピーターは、そんな事はしたくありません
ピーターの率いる小隊全員は、そんなピーターに従います
即ち、村は攻撃しない[E:sign01]
無線で大尉に連絡する時、
「村に接近しています」
と言いながら、空中に銃を撃たせ、
「今、敵を倒しました」
等の嘘の報告を繰り返します
無線を切らずに、ピーターも小隊全員も、何にもない空き地であらゆる武器をぶっぱなし、咆哮を轟かせ、光を放ち、大声を出します
此の場面の胸を空く程の圧巻さ
筆者もベトナム経験が有るのかもと思いました
終盤のテリーの言葉に
「病気には意味なんかない」
と言うのが出て来ます
病気は病気なんだ、と
テリーの亡くなる所も迚も素晴らしい
それにしても、本職が作家じゃないなんて、著者には驚きです
ミステリ・サスペンス・推理小説全般 |