2008年07月27日

柔らかい棘 ペイン・カー:著

原題はHURMFUL INTENT
直訳すると有害な意味




柔らかい棘

ペイン・カー(Baib Kerr):著

著者は、自身も医療過誤を専門とする弁護士


法廷物が好きなので読んでみました

原告の一人娘の年が、内の子と同年代なのと、乳癌に罹ってる事から、原告の彼女も私くらいの年かと思いました

ボルダーという実在しない都市で、ピーター・モス弁護士が原告の為に戦います


乳癌を放置された侭だったという事で、テリー・ウインターは、主治医のウォレス・ボンダランドを訴えます

ピーターはテリーの弁護を引き受けます

途中までは、テリーの頑固とも取れる程の、信念を曲げずの性格が災いして、ピーターは負け気味

テリーが12歳の娘エミーを連れて雲隠れしたりして、中盤までモス苦戦

エミーの主治医でもあったボンダランドについて、エミーが母テリーに何やら告白

テリーは急遽、終の棲家と秘かに思っていた雲隠れ先のメキシコからボルダーに戻り、裁判を闘う決意

判決の結果はどうなる[E:sign02]
エミーの告白とはどんな衝撃の事実だったのか[E:sign02]

 
テリーの裁判を引き受ける前に、ピーターは医療過誤でボンダラントと戦った事が有りました

原告はジェシー・フィッシャーの両親

ジェシーは当時 中学生で体操選手でした

肩を痛めてボンダラントに診て貰います

医療ミスにより副作用が出て、全身に湿疹が広がり、皮膚が剥がれ、免疫低下によって敗血症を伴うという、想像したくない状態で亡くなりました

ジェシーの事は物語の中で、何度もピーターが思い返すのです

ピーターは此の裁判、敗訴したんです

内にも中学生が居ます

ジェシーの亡くなる部分の描写は涙を誘いました


小説の合間に入る、ピーターのベトナム体験

特に印象に残るのは、村一つ壊滅させろと言われて、ピーターに命令が下った所からの下りです

無抵抗の非戦闘員である村民を殺す訳です

ピーターは、そんな事はしたくありません

ピーターの率いる小隊全員は、そんなピーターに従います

即ち、村は攻撃しない[E:sign01]

無線で大尉に連絡する時、

「村に接近しています」

と言いながら、空中に銃を撃たせ、

「今、敵を倒しました」

等の嘘の報告を繰り返します

無線を切らずに、ピーターも小隊全員も、何にもない空き地であらゆる武器をぶっぱなし、咆哮を轟かせ、光を放ち、大声を出します

此の場面の胸を空く程の圧巻さ

筆者もベトナム経験が有るのかもと思いました


終盤のテリーの言葉に

「病気には意味なんかない」

と言うのが出て来ます

病気は病気なんだ、と

テリーの亡くなる所も迚も素晴らしい


それにしても、本職が作家じゃないなんて、著者には驚きです

にほんブログ村 トラコミュ ミステリ・サスペンス・推理小説全般へ
ミステリ・サスペンス・推理小説全般
posted by 紫 at 17:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 翻訳法廷小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック
読書感想ランキング