感性がピュアな世代がいっぱい観に来てました
新感線プロデュース
いのうえ歌舞伎☆號
IZO
20年2月11日マチネ
シアターBRAVA!
席は2階E列下手寄り
ネタバレ注意
脚本(以下、敬称略)
青木豪
演出
いのうえひでのり
出演
森田剛
戸田恵梨香
田辺誠一
千葉哲也
粟根まこと
池田鉄洋
山内圭哉
木場勝己
西岡徳馬
逆木圭一郎
右近健一
河野まさと
インディ高橋
磯野慎吾
吉田メタル
中谷さとみ
保坂エマ
村木仁
川原正嗣
前田悟
萩原利映
横山一敏
武田浩二
矢部敬三
藤家剛
川島弘之
加藤学 まなブログ
西川瑞
大橋てつじ
愛田芽久
生尾佳子
葛貫なおこ
倉田さえこ
嶌村緒里江
下田智美
タイトルのIZOとは、森田剛くん演ずる実在の人物、土佐の岡田以蔵の事
いのうえ歌舞伎☆號の號とは、ゴーと読み、剛くんと脚本の青木豪さんの名前から取ったもの
時は幕末で、以蔵は下級武士
以蔵は、田辺誠一くん演じる土佐勤王党の武市半平太を師と仰ぎ、武市の指示に従って天誅を加え、人斬り以蔵と呼ばれる程の男になります
でも、武市は以蔵の事を可愛がることは可愛がりますが、上に取り立ててやるなどはなく、パシリ的な使い方しかしてくれない
それでも以蔵は、土佐勤王党の中で一生懸命に仕事を熟しますが、武市がとっ捕まって、勤王党も壊滅
以蔵が今までの暗殺の事を喋ってしまうと思い、武市は、以蔵の命も奪おうとするのです
慕っていた人物に、認めて貰うどころか、邪魔に思われて此の世から消える事を望まれる
惨めで辛い、以蔵の物語
舞台は、数え28歳で以蔵が処刑されるところで幕です
派手な踊り無し、歌も無し、
何より、笑い無し
此れが新感線の舞台か
という感じでした
重厚ないのうえ歌舞伎ではありましたが、兎に角、暗い、遣り切れない…
粟根まことさん
勝海舟
粟ぼんが出る2場だけは、かぶりつきで見てしまいました
役柄上、眼鏡を掛けてなかったように見えましたが、実際はどうだったのでしょうか
山内圭哉くん
田中新兵衛
途中まで、圭哉くんと分かりませんでした
薩摩弁を喋っているし
髪の毛、有るし…
高い声を出した時に、分かりました
圭哉くん自身がPiperのメルマガに書いてたように、笑いを取る事も無く…
どっちかと言うと、笑い部分は坂本龍馬役のイケテツが取ってました
戸田恵梨香ちゃん演じるみっちゃんは、以蔵の土佐の幼馴染み
実は二人、内心ではお互いを気にしています
此の若々しい恋物語は、微笑ましくって素敵
みっちゃんが身寄りが無くなって、京都の木場勝己さん演じる寅之助の小料理屋で働くのですが、寅之助はみっちゃんの親戚筋で、人斬り以蔵なんかとくっついてたらみっちゃんの為にならないから、ええとこの若旦さんとのお見合いを勧めたりしています
以蔵は、武市に乞われて義兄弟の契りを結んだ新兵衛に、もの凄く嫉妬してた頃でもありました
新兵衛はみっちゃんのお店によく来るので、以蔵は彼女に頼んで、新兵衛の刀をすり替えて貰います
新兵衛の刀で、天誅
以蔵は、新兵衛に罪をなすり付ける訳です
刀が決め手となって新兵衛は捕まり、身の潔白を明かす為にお白州で、ボケる事も笑いを取る事も無く、真面目に自害します
みっちゃんは自分がした事の意味を覚り、以蔵との仲は此れでお終いになります
おネエ言葉を喋る、ええとこの若旦さんと祝言を上げるみっちゃん…
此の場面、切なくっていい演出でした
花嫁姿のみっちゃんの嫁入り行列が、ゆっくり丘を進む…
若旦さん、誰が遣ってたんやろ、ナンシカ私の席は見えなくって
そして、武市も捕まります
此の辺りから、武市の中では以蔵の殺害が具体化したように描かれています
新兵衛が自害し、みっちゃんが人妻になり、党もばらばら
以蔵の心も満身創痍ですね、屹度
以蔵は、山に潜伏します
其処へ与一が、武市からことづかったと言って酒を持って訪れます
与一は、河野まさと君が演じています
土佐の頃からの以蔵の朋輩で、共に武市の元で頑張ってきた同士です
しかし、観ている者は
「あのお酒、毒、入ってるんやろ」
と思って、ドキドキします
与一も、知ってるみたいな、知らずに持たされたみたいな、どっちとも取れる河野くんらしい演技
以蔵が一緒に飲もうと誘っても、断ったりしてます
先生は以蔵に、と持たしたから、自分が飲んではいけないと思ってる的な、律儀で忠義な与一なればこそ、此の場面が生きてきますよね
で、其処へみっちゃんが来ます
おネエ旦那のお店の関係で、もう来られなくなると言う報告
以蔵はお酒も有るので、祝言の真似事でもしようと提案します
もう人妻になってしまった彼女への、遠回しな愛の告白
みっちゃんも、了解します
気を利かして、与一は席を外します
与一、またここでも、毒入りだと知ってるのかなって感じにも取れます
お酒を飲んで以蔵が死んだ時に、其の場に居ないつもりかも
とかね
私のドキドキは、最高潮です
みっちゃん、口らか血ぃ出して死ぬんちゃうん
新感線でよく
ドンっ
って効果音を出しますよね
鳴るんちゃうん、みっちゃんが死ぬ時
ドキドキ、ドキドキ
ところが
三三九度で二人が杯を交わし始めると、客席から啜り泣きが…
少しして毒が効いてきて、みっちゃんが苦しみ出すと、啜り泣きが大きくなりました
私ったら、人が死ぬのにドキドキしてたなんて、恥ずかしい
今作では、剛くんのファンの若い人達がいっぱい観に来てました
みっちゃんの死の場面は、以蔵の儚い恋の終焉、たった一つの以蔵の心の拠り所の喪失を表しています
此の若い感性が、悲しみに溢れた涙の客席ゾーンになりました
それでも私、以蔵は死ななかったので
「お前は生きてんのかーい」
と心の中でツッコミ入れてしまいました
因みに、与一は毒入りとは知らんかったと言って、もの凄く狼狽してました
此れも、実は知ってたのだが、死んだのが自分も馴染みのみっちゃんで、ショックを受けていたとも取れますな
河野くん、いいぞー
否、いいぞー(以蔵)やなくて、与一か
…って親父ギャグ
剛くんの以蔵は、終始、子供みたいで可愛い
土佐弁を話す事で、直向きで、健気なところが更に強調されていました
みっちゃんが生まれた時、満作の花が咲いていたとの事
其れで、みつと名付けられたというみっちゃん
ラストの以蔵は、みっちゃんの花を見ながら、処刑の場所まで出向いて行きます
前日に見たベガーズ・オペラみたいに
誰か書き換えろって言うてくれ
…とか考えてしまいました
売れっ子アイドルなのに、知る人ぞ知るアノいのうえさんの演出で稽古して、その後の公演が長丁場の新感線の舞台、よく頑張ってるぞ、剛くん
あー、しかし、オペラグラス買わねば